絶対引かれると思ったのに。

聞こえたのは予想外のセリフで、視線が定まらない。


「ここが外じゃなかったら、みなみちゃん危なかったかもね」

「えっ……どういう意味?」


な、なんか私、危険な目にでも遭うのですか?


「さあ、どういう意味だろうな」

「ねえ、彗〜」


結局彗はなにも教えてくれなくて、上手くはぐらかされてしまった。


それでも、家に帰ってからも私の心はわくわくでいっぱいだった。


七夕祭り。

あと1週間ほどでやってくるその日は、私の大切な日。

……約束の、あの日だ。

彗は覚えて誘ってくれたのかな……?


茉莉也さんからもらった浴衣をクローゼットに大切にしまってから、今度は机の引き出しに入れていた小さな箱を眺める。


……喜んでくれたらいいな。


ふふっと微笑んで、もう一度机の中にそれをしまい込んだ。