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スタッフの皆さんに挨拶をし、五代くんともさよならをした後、彗と2人で帰ることになった。


今日撮った写真は、後日SNSで公開されるらしい。

あんなにかっこいい彗の姿が世界に発信されちゃうのかと思うとちょっと妬けちゃうけど、どんな写真になってるのか楽しみな気持ちもある。



「今日はごめんね。勝手に来ちゃって」


沈みかけた日差しの中、私は左隣をそっと見上げた。


「……別に」


怒ってねえよと言ってくれた彗に少し安堵する。

こっそり潜入して、こっそり帰ってやろうと思ってたから、バレた時は本当に心臓が止まるかと思った。


「彗の浴衣姿、すごくかっこよかったよ」

「……そりゃどーも」

「ねぇ〜」


せっかく褒めたのにさあ。

相変わらずの飄々とした態度にはやっぱり笑ってしまう。



「ていうか、私まで貰っちゃってよかったのかな?」


ふと見つめる先は、帰り際に茉莉也さんから渡された紙袋。

よかったらどうぞ、と彗だけじゃなく私にまでプレゼントをしてくれたんだ。

なんと、浴衣のプレゼントを。

本当に太っ腹というかなんと言うか。