「〝げ〟じゃない!」

「こえぇ〜。つか、なんでいんだよ」

「さぁ、神様が教えてくれたんじゃない? ってあれ、もしかしてみなみちゃん?」


えっ?

二人の様子を眺めていると突然、茉莉也さんの目がこっちを向いて驚いた。

私をじっくり見つめるその顔は、さっきまでの怒りに満ちた表情から一転、明るくキラキラとしている。


〝みなみちゃん〟て言ってたけど、五代くんから話が通ってるのかな?



「あの、栢野みなみです。本日はおじゃまさせていただきます」


一先ず疑問を頭の片隅に置き、帽子とサングラスを取ってから軽く頭を下げてそう返すと、「やっぱり〜!」と茉莉也さんが私の手を両手で包んだ。


「市ヶ谷くんの彼女でしょう? 千也が呼んだって言うから、会うの楽しみにしてたの! みなみちゃんて肌白くてお人形さんみたいで可愛い〜」

「いえ、そんな……! 茉莉也さんこそお綺麗で」

「あら〜。そう?」

「はい。羨ましい限りです!」


こんな美人さん、なかなかいないもんね。

何食べたらそんなふうになれるんだろう……なんて考えていると。


「で、彗は?」


五代くんがそう言いながら辺りを見渡した。



「あー、市ヶ谷くんならもうすぐ来るんじゃ……あっ、来た」


え──。