「そ。ウチの姉貴アパレルの社長で広告担当もしててね。今からここで撮影があんの」
撮影?
彗はアシスタントをするのかな? それとも……。
そうやって考えていた最中。
「あ、あれが姉の茉莉也」
奥から歩いてきた人をこっそり五代くんが指さした。
「わ、綺麗……」
目に入ったその人は、想像通り……いや、それ以上に美人に見えた。
少し離れたところからでもスタイル抜群ってことは明らかだし、華やかなオーラが全身を纏っている。
かきあげられた明るめの長髪が大人っぽくて、高い背もまるでモデルさんみたいだ。
五代くんもオシャレさんだなーとは思ってたけど。
この姉弟……強すぎる。
「ま、喋ったらただのオッサンだけどね〜」
「誰がオッサンですって?」
「……げ」
五代くんの言葉に食い気味に入ってきた声に振り向くと、そこにはさっきまで向こうにいたはずの茉莉也さんがにっこりと笑って立っていた。