「やっほーみなみちゃん」

「五代くん!」


と、遠くから歩いてきたその人に手を振り返す。


「あの……本当に私が来てもよかったの?」

「もちろん。むしろみなみちゃんが来てくれた方が面白いから」


……面白い、というのは少し謎だけれど。

にっこり笑い返してくれた彼にほっとした。


この前スマホに送られてきたメッセージの送り主は、この五代くんだった。

五代くんから連絡が来たのは初めてのことで、びっくりしながら開いたLINEには、こう書かれてあったんだ。


【今週の土曜、彗のバイト姿見にこない?】


と。


指定された日はまさかの期末テスト2日前。

ということもあり、どうしようか悩みに悩んだ末、最終的にうんと返事をし、メッセージに書かれていた住所までやってきた。

来なきゃ教えてあげない、という駆け引きに負けて。


「さ、中に入って」


促してきた彼に続き、早速私はその建物の中に足を踏み入れる。

続いてガチャと開けられた部屋は、少し広めの白い空間だった。

なにやら機材がたくさん並んでて、照明に大きなカメラ、モニターなんかが置いてある。


……もしや。

と案内されたパイプ椅子に座りながら、ふと隣の五代くんの顔を覗いてみる。


「これって……」