「な、にして」
「違うから、わかって?」
「……っ」
ずるい。
こうしたら彗は私が何も言えなくなるのを知っててやってるんだ。
……でもそれを知ってるなら、教えてくれなくて不安になる気持ちもわかってよ。
スタスタと歩く背中に叫ぶ。
「彗のツンデレ!」
「……は?」
叫んだらちょっとだけスッキリした。
……もういいや。
そうやって諦めて帰ろうとしたその時、ピコンとスマホの通知音が鳴った。
***
そして迎えた土曜日。
私はソワソワとあるビルの前に立っていた。
サングラスに深く被った帽子。
そんな、いつもとは違う格好で。