嘘から始まった恋人生活が本物に変わったその日、知らなかったたくさんのことを知った。


大好きの気持ちに際限がないんだってこととか。

他人になんて微塵も興味ありませんって顔をしておきながら、2人きりになったら意外と甘い彼の顔とか。

ぎゅっと抱きついたら包み込むように抱きしめ返してくれる、嬉しさとか。


全部未知の世界で。

知る度にもっと知りたくなる、魅惑の光。



「彗〜」

「……ん?」

「暑いね〜」


なんて言いながら腕を絡める朝。

さすがに6月も終わりがけになると、歩いているだけで汗ばんでしまう。


「なのにくっついてくんの?」

「うんっ」


離れろと言われる前に力を込める。


私は幼なじみ歴17年のプロ。

彗の行動はなんでもお見通し……。


「……ま、いいけど」

「え」