「みなみ」


おいでと手を広げたら、みなみは照れながら飛び込んできた。

俺よりも小さくて細い身体。

ぎゅって力を込めたら潰れてしまいそうな身体で俺を求めるように腕を回してくるのが、たまんない。


「こっちむいて」


呟いて、今度は唇を重ねた。

軽く触れただけのキス。

なのにみなみは、大きく目を見開いたまま固まってしまった。


「んだよ、初めてじゃねーだろ」


そもそもそっちからやってきたくせに、ってのはさすがに言わない。

あの時の衝撃は今でも忘れらんないけどね。

まあ俺も、勝手に2回目奪ったわけだし。


「やっ、でも前は両想いだと思ってなかったし? それに……」

「……」


頬を染めながら必死に呟く姿を見て、わかってしまった。

いつもは自分からぐいぐいくるくせに。


「もしかして、人から来られんのはヤ?」


ゆっくり覗き込むように訊ねると、こくりと頭が縦に動いた。