「みなみ」 「ん?」 はっ、とどこかへ飛んでいた意識を取り戻した。 「何ぼーっとしてんの? 呼ばれてる」 「へ?」 私は促されるまま樹里の指さした方へ振り向いた。 すると捜さずとも、ニコッと笑みを浮かべたその人と視線がぶつかった。 ドクドクと鼓動が大きく全身に鳴り響く。 「井手先輩……!」 ゴクリと息を呑み込み、私はその人の元へと向かった。