「「みなみ(ちゃん)!」」
「っ!?」
1秒も経たない間に二つの声が一直線に飛んできた。
「取り急ぎ、おめでとう!」
「おめでとう!」
「……はい?」
なに? おめでとう?
私はわけがわからず、樹里と美月を交互に見る。
「やーねー。あたしたち、見ちゃったわよー?」
「ええ。二人の熱〜い抱擁を」
「っ!? え、え、え! どういうこと!?」
ぐるぐると視界が回り出した。
熱い抱擁?
なんで?
え、それって、私と彗のこと……!?
「知らない? ほら、あそこ」
樹里が指さした方を見て、驚くとともに深く納得してしまった。
あそこって……さっきまで私たちがいたところ!
「おいみんな席に着けー」
驚愕の事実に狼狽えていると、教室に担任の先生の声が響き渡った。
「チッ残念」
「みなみちゃん。次の休み時間、詳しく話聞かせてね!」
ぎゅっと包み込むように手を取られ、口早にそう言われた私は、勢いに押され「……う、うん」と返すしかなかった。