「みなみの好きも、そういう意味で合ってる?」

「……うん」


想いを乗せて頷いたと同時に、もう一度ぎゅっとその胸に抱きしめられた。


……なにこれ。

こんなの、知らない。


彗に抱きしめられるのは初めてじゃないのに。

今までとはたしかに違う、優しい感覚。


「私、彗の特別になりたい。彗の隣は誰にも渡したくないよ」


そう言って力強くしがみついたら、何故か小さなため息が落された。


「……もう特別なんですけど」


耳を擽った声は甘くて。

どうしようもなく胸がきゅううんと締め付けられる。


嬉しい。嬉しいよ。

ずっと好きだったから。

彗のことが、心から。


「大好き……っ」


堪らず零れた気持ち。

するとすぐ。


「じゃあ今度はフリじゃなくて、みなみの本物の彼氏にしてよ」


耳に降ってきたそれが全身をふわっと包み込んだ。

……そんなの。