「答えてみなみ」

「……」

「目ぇ逸らすなよ」

「っ、なんで……」


好きな人いるくせに。

その言葉は、喉から出てくれなかった。

きっと、怖かったんだ。


「離してよ」


ドクドクと胸がうるさい。

心臓の音しか聞こえないほどに。


なのにあなたはそんな涼しそうな顔して……。



「俺が好きって言ったら、逃げないでくれる?」


え……?

その時私の耳に届いたのは、疑いたくなるような声だった。


「今、なんて……」

「だから、みなみが好きだって言ったの。ずっと前から」

「……う、そ」



彗が私を好き?

それも、ずっと前からなんて──。