混乱状態が頂点に達した時、人気のない渡り廊下の先でピタリとその足が止まった。

その、直後。


「……ねぇ、昨日の何?」

「えっ」


落とされたそれにドクン、と心臓が大きく鳴った。

きっ、昨日のって……。


「俺のこと好きって、どういうこと?」


うぅぅぅ、やっぱり。


逃げ出したい。のに、逃げられない。

だって彗が私の両肩をがっちりと掴んで離してくれないから。


「……みなみ、こっち向けって」

「っ、や……だ」


そんなの無理。

顔なんて見られるわけ──。


「……っ」


急に心臓が止まるかと思った。

逸らしていたはずの顔がグイッと掴まれ、思い切り合ってしまった目。

真っ直ぐで力強い瞳に見つめられ、瞬きができなくなってしまった。