私がお姫様に興味を持ったのは、小さい頃夜寝る前にお母さんに読んでもらった絵本がきっかけだった。

色んな種類を読んでもらったけど、やっぱり私はお姫様が出てくる物語が大好きで。



『私、お姫様になりたい!』


いつしかそれが、夢になっていた。


お姫様と王子様。

惹かれ合う運命の二人。

物語には欠かせない真実の愛に、単純に憧れたんだと思う。


──私も、いつかは運命の王子様に巡り会えるのかな……?


そんな淡い期待が更に大きな夢になったのは、私が幼稚園に入園してからのこと──。


私の通う幼稚園では、年に一度劇の発表会があって。

初めての劇は〝シンデレラ〟だった。


役は立候補制。

もし被ればジャンケンね、と先生に言われた。


魔法使い、お姉さん、続々と決まっていく役の後、いよいよその時がやってきた。


『シンデレラになりたい人ー?』


ドクン、ドクン。

心臓が鳴る中、挙手をする女の子たち。

もちろん、私の第一候補もシンデレラだ。


だけど私は──。