──そうして二人きりでやってきたのは、彗の部屋だった。

気を利かせてくれた宙くんが、『中で話しなよ』と取り持ってくれたんだ。


……だからここに来るのは、あの〝練習〟の日ぶりということになる。



「……言いたいことってなに?」


テーブルの前に座るや否や、正面に座った彗が私の目を捕らえて言った。

瞬間、ドキッとして逸らしてしまう。


……あ〜どうしよう!

せっかく告白を決めてここまでやってきたのに、緊張で倒れちゃいそうになるなんて。


でも知らなかったんだもん。

告白ってこんなにも大変だってこと。


指先の感覚がなくなって、心臓だってこんなに痛くて……世の中の女の子ってホント尊敬しちゃう。


「みなみ?」

「あっ、ごめん……。なんか緊張しちゃって」

「そんな言いにくいこと?」

「そ、それは。ちょっと……?」


だってそうでしょう?

いきなり好きだなんて言ったら、彗だってびっくりするよね。

でも。

私が言わなきゃ何も変わらない。


……なんて、わかってるはずなんだけどなぁ。

なんでたった2文字を言うのが怖いんだろう。



「……じゃあ先に質問」

「へ?」