「えっと……」

「みなみちゃんが勉強でわからないところがあるって言っててね。もうすぐテストだし、相談に乗ってたところだよ」


……彗のこと話してたんだ〜。

なんて言えなくて。

何も言えずに棒立ちしていると、代わりに宙くんが答えてくれた。


『彗にプレゼントのことは内緒でお願いします』

私がそう頼んでたから、きっと別の理由で。


「ね、みなみちゃん?」

「そ、そうなの!」


向けられた視線に、ここぞとばかりに賛同する。

……彗、信じてくれた……かな?


と、その時。


「へぇ。邪魔して悪かったな」


くるりと背を向けたその人が、家の方へと足を進めた。


「ちょっと待って!」

「なに……?」

「私、彗に言いたいことがあって」


そう言うと、動いていたはずの足がピタリと止まった。


……よかった。

せっかくのチャンスなのに、行かれてしまったら困るもの。


「あの、ちょっとお話できるかな?」


彗の気が変わる前に。

私は一点に見つめ、ゆっくり解き放った。