「そんなことないよ。俺だってみなみちゃんには救われてるから」

「私が?」

「うん」

「……優しいね」

「本当だよ。昔から、君の笑顔を見たら力をもらえるんだ」


……宙くん。


ああもうやだ。

せっかく止まったのに、また泣かせないでよ。


進まなきゃ。

ちゃんと、彗に思ってること全部伝えなきゃ。

こうやって応援してくれる、宙くんのためにも。


「宙くん、私──」

「なにやってんの」


──ドクンッ。


きゅっと宙くんの服を握ったその時、聞こえてきたのは私のよく知る声で。

意図せず振り返ると、


「彗……」


もう佐渡くんたちとは別れたんだろう、私服姿の彼がそこにいた。