「どういたしまして。……って言っても、お礼を言われるようなことはなにもしてないけどね」

「またそんなこと言って。選ぶの手伝ってくれて、ご飯まで奢ってくれたくせにー」

「あははっ」


……そう。


彗へのプレゼントを選んだあと、イタリアンのお店に入った私たち。

全て食べ終えてさあお会計をしようとしたら、もう済んでるって言われた時はびっくりしちゃったよ。


私の知らない間に宙くんが先に支払いを済ませてくれてたんだって。


……ほんと、こういうスマートなことをさらりとやってのけちゃうんだから、すごいよね。

この前のお別れの挨拶の時にも思ったけど、宙くんはきっと、素敵な先生になるんだろうなぁ。


それからは、完全に目的なんか忘れて遊んでた。

夏物の洋服を見たり、オシャレな家具を見て将来のお部屋を想像したり。



「楽しかったな……」

「それはよかった」

「……っ」


わ、私口に出してた!?

そんなつもりじゃなかったから、変に取り乱してしまう。

するとその時。


「みなみちゃん、最近落ち込んでるみたいだったから」


降ってきた柔らかな声に、心が大きく揺れ動いた。


「……ねぇみなみちゃん。もっと別のことで悩んでるんじゃないのかな」


──え。