「栢野さん、ちょっといいかな?」

「え?」


私は、後ろからかけられた声に目を大きくしたんだ。



***



あ〜どうしよう。

大丈夫かな?

何度も鏡を見てはため息を繰り返す。



だって今日は──。


「お待たせ、みなみちゃん」

「宙くん!」


宙くんとお出かけの日。

駅で集合して、これからショッピングモールへと行く約束になっているんだ。


──というのも、この前のお別れ会の後のこと。



『最近、なにか悩んでるんじゃないかな?』


二人きりになった時、宙くんがそんなことを訊いてきて。


『もしそうなら、頼ってほしい。俺は君の先生でもあるけど、それ以前に大切な幼なじみだからさ』


図星をつかれたことに驚いて言葉が出ない私に、また優しい声でそう続けたんだ。

悩みに悩んだ末、そんな宙くんの言葉にちょっとだけ甘えることにしちゃった。


『……彗にプレゼントを贈りたいんだけど。なにがいいと思う?』


今までのお礼にと、プレゼントを贈りたいと思っていたのは、本当だったから。

そうしてじっと答えを待っていると、『んー』と唸った宙くんが徐に口を開いた。


『だったら、俺が手伝ってあげる』