きゃ〜っ!

とにやける顔を押さえてから、帰りの荷物をまとめる。


美月も樹里も部活と委員会で一緒に帰れないから、今日は一人。

寂しいはずなのに、今日の私は無敵だ。


あーほんとどうしよう。

明日彗に訊いちゃったりする?

私のこと、好──。


「でもさー、ちょっと意外だったよねー」


るんるん弾む心で階段を下りていると、下からそんな声が聞こえてきた。

どうやら踊り場に数人の女の子が集まっているみたい。

いつものように気にせず通り越そう、とした時。


「あたし、市ヶ谷くんは絶対あの人とくっつくと思ってた」


え?

と思うと同時に、私の背中は隠れるように壁に張り付いていた。


──ドクン、ドクン。


全身に鈍い音が響く。

聞き間違えじゃない、よね。

さっき市ヶ谷くんって……。