「だって、よくないと思うの。そういうのはちゃんと好き同士がすることでしょう?」
なのに勝手に、奪う形になってしまったのだから。
「なに。そんなに俺とキスしたの嫌?」
「違っ。私はただ、彗に申し訳ないだけで」
「だったら気にしないで」
「……え?」
大きく目を見開いた私に、いつものクールな眼差しが向く。
「俺も別に嫌じゃなかったし。みなみも嫌じゃないなら、それでよくない?」
「それは、そうだけど……」
そりゃあ私は好きな人とキスなんて正直願ったり叶ったりだよ?
でも、彗は違うわけだし。
「ったく」
はぁ、とその時小さくため息を落とした彗は、どういうわけかベッドから体勢を起こし、
「これでお相子、な?」
そう言って、私に顔を近付けた。
と、思えば。
「んんっ」
ふにっと落とされた、短い口付け。