宙くん……!
暫く居心地の悪さを感じながら歩いていたら、ちょうど廊下の向こうから歩いてきたその人を発見。
「栢野さん、小林さん、おはよう」
「「おはようございます」」
にこっといつもの爽やかスマイルを見せてくれた宙くんに、私と樹里は声を揃えて挨拶をした。
宙くんの顔見たら、落ち着くなぁ……って、そうだ!
「樹里、ちょっと先入ってて?」
「ん? いいけど」
「市ヶ谷先生、少しお話が……」
そう。
私は今とってもとっても重要なことを思い出したのだ。
「みなみちゃん、どうした?」
人気のない渡り廊下に移り、切り出したのは宙くんの方だった。
「もしかして……あのこと?」
「……っ」
宙くんはもう私が話したいことを察してくれているみたい。
ということは、話が早い。