そのまま一気に引き寄せられ、くるりと横に向いていた顔を戻した私。

だけどどうやら、力加減を誤ってしまったらしい。

重なったのは、口とほっぺたではなく──。


「んむっ!」


……あ、あれ。

私今……?

たしかに唇に感じる、自分のものとは違う熱。


……これって──。


「ご、ごめん彗!」

「……っ」


急いで離れるも、唇に残った感触は消えないままで。


「キャーーーっ!」


悲鳴に似た歓声が延々と耳を突き刺す中、まともにその顔を見ることができない。


最悪。最低。

何やってんの私ぃ……!