「落ち着け。お前は何も気にせず、俺に合わせて全力で走ればいいから」


耳元に降ってきた囁くような声にこくりと頷いた。


そして──……。


「位置について、よーい……」


──パーン!


ピストルの音を合図に、5組が一斉に駆け出した。


「いけーーー!」

「ファイトーーっ!」


幾つもの歓声を浴びながら必死に前へ進む。


彗と一緒に走ってるから?

いつもよりスピードが速い気がする。

なんていうのかな? まるで風に乗ってるみたいな──。

……あれ。

本当に、そんな気がしたんだけどなぁ……。


「……ご、ごめんなさい」


えーーん、5組中4番目だったなんて。

まだ2グループ目のタイムが出てないから正確な順位はわからないけれど、これはかなりショックだ。


「次だ次」

「うん……」