「みなみちゃん大丈夫?」

「へ?」


タオルで首元の汗を拭いながらこっちを見る美月に、私は目をぱちぱちとさせた。


「百面相してたから」


え。やだ、私ったら恥ずかしい。


「はは、ちょっとね。……ていうか、あれ? 樹里は──」

「2年2組市ヶ谷くん。2年3組栢野さん。至急、本部テントまでお越しください」

「っ!?」


その時突然耳に届いたそれに、ビクッと身体が跳ねた。


「今私、呼ばれてた……よね?」

「ええ」


しかも彗と一緒に。

なんで?

私……なにかしたっけ?


思いもよらぬ呼び出しにハテナを浮かべていると、後ろからポンと肩を叩かれ振り返った。


「さ、出番よ」


……出番?

目に飛び込んできたその人は、意味深な言葉を告げるなり薄らと黒い笑みを浮かべた。