「いただきまーす」


手を合わせて、パカっと蓋を開ける。


「……うわっ、あれ恐ろしい限りね」


プチトマトにお箸をつけたところで、樹里が言った。


「はは、たしかに」


樹里が顔を歪めるのも無理はない。


「宙先生、お弁当一緒に食べてくださいっ」

「あはは、いいよ」


言葉通り、宙くんの人気は恐ろしい限りなのだ。

4時間目の終わりのチャイムがなるや否や、我こそはと女子生徒が集まって……。

気づけば、女子たちでできた壁が宙くんを取り囲んでいた。


……私も少し話しかけたいんだけどな。

がっちりガードで、中々難しいみたい。