「というか、無理やり吐かせたんだけど」

「む、無理やり?」

「アイツ、なんか隠してるみたいだったからさ、気になってしつこく訊いてたら教えてくれたってわけ」


言いながら〝いぇい〟と見せられたピース。

私は、樹里と美月と「なるほど……」と口を揃えた。



「お、いたいた」


と、その時どうやら宙くんを発見したらしい佐渡くんが、楽しそうに声を出した。

……発見って言っても女子たちが群がってるんだから、すぐに見つかって当然なのだろうけど。


「ひゃー、あれが彗のお兄さんかあ。超イケメンじゃん」


その光景に感心したらしい佐渡くんに、私はうんうんと頷く。

すると、ぽつり。


「そりゃ機嫌も悪くなるか」

「え?」


小さく落とされたそれに、首を捻った。


彗、機嫌悪かったの? 

そう思うと共に、キーンコーン……とチャイムの音が鳴った。

もう、そんな時間らしい。

教科書を抱えた隣のクラスの先生が、生徒たちをクラスに戻るように促す。


「じゃーねー、みんな」

「うん、またね」


嵐のように去っていった彼に手を振り、私たちも教室に戻ることにした。