「美月おはよう」

「おは!」


見るとその腕には大量のプリントが抱えられていて。

すぐさま今日の日直だったんだと理解する。


「ねぇねぇ二人とも聞いて! 私、さっき職員室に行ってきたんだけどね」


抱えていたものを教卓に置いた美月が、いつもより興奮した様子で私たちに駆け寄ってきた。


「その時見ちゃったの。噂の教育実習生」

「「えー!?」」


噂のってことは、ついさっき樹里が言ってた人のことよね?


「爽やかでとってもすてきだったわ〜」


はぁ〜っとため息をつきながら顔に手を当てる美月に、私の心は少しドキドキと音を立てざわめいた。


美月が言うんだから、相当なイケメンに違いない。

そもそも噂が回るくらいだ。

一体どんな人がやってくるんだろう……。

さすがに私もちょっと気になってきちゃった。


──なーんて、呑気に考えてた数分前の自分はもうここにはいない。

今は違う意味で心拍数が上がり、心臓がドキドキとうるさく鳴っている。

だって……。