「私が澪音を支えるから」

だけど、弱々しく気遣うように笑っていた過去とは明らかに違う、凛とした笑顔に、私の目からは自然と涙が溢れだしていた。

「……半年ってなに?意味分かんない」

ぽつりと声に出すと、やり切れない感情が溢れ出した。

「治療頑張ったのに。皆のこと泣かせて本当に苦しかったんだよ。辛かったけど、私のために辛い思いさせるの嫌だから、だから頑張ったのに」

家族を責めるような最低なことを言っているのは分かっていた。
だけど、溢れだしたら止まらない。

「全部意味なかった。またこんな思いするくらいなら、あのとき諦めてた方がずっとよかった」

感情のままに、真っ黒な心を垂れ流しにする私を、莉音ちゃんは黙って抱きしめてくれていた。

「私、最後まで普通に生きたい。家のご飯を食べて学校にも行って過ごしたい。でも、家族の悲しい顔は見たくない」

ありのままの感情をすっかりと出し切った最後に、ぽつりと零れた一筋の涙と本音。

莉音ちゃんは、しっかりと頷いて私を抱きしめた。

「大丈夫。私に任せて」

不安なんて微塵も感じさせない強い笑顔に安心した。
莉音ちゃんがいてくれたら、私は最後まで自分勝手に生きられる。

そう思うと、少しだけ気持ちが楽になったような気がした。

小学4年生のとき、必死で取り繕った強がりなふりが、抜けていなかっただけかもしれない。

だけど私は、自分の運命を真っ直ぐ受け止めようと、最後まで思うがままに使い切ろうと、前向きに考えられるようになっていた。