それからの数週間は、毎日代わる代わるお見舞いに来てくれる大輝と朱里の顔を見て過ごしていた。

8月も中旬にさしかかろうとしている頃。

もう私は、薬の判断も分からなくなっていて、飲むタイミングも量も全部、莉音ちゃんに任せるようになっていた。
だけど、何となくわかる、きっと薬は日々強くなっている。

ずっと夢を見ているような、すっきりとしない毎日で、私は、一日の大半を寝て過ごすようになっていった。

今日が何日で、どれだけ寝ていて、朝なのか夜なのかも分からない。
生きているのかすらもはっきりとしないような頭で、ただただ苦しみは大きくなっていく。

「澪音、起きた?」

それでも、目を覚ますと、いつもベッドの近くには旭陽がいた。

向けられる変わらない笑顔に、私は酷く安心して、縋るように手を伸ばす。
ぎゅーっと強く全ての力を込めてその手を握ると、応えるように強めに握り返してくれる。

その温かい手に安心して私はまた眠りに落ちていくのだ。