それから約束の7月15日までも、私は数回しか登校できなかった。
行けた日も、午前中で抜けたり午後から少しだけ顔を出したり、そんな日ばかりで。

「まさか……こんなに一気に悪くなると思わなかった……」

食欲も段違いになくなって、骨が浮き出てきた身体にため息を零す。

「流石に学校来なさすぎだろ」

そんな連絡をしてきた旭陽には、どうしたらいいのか分からず、煽るような表情で舌を出すうさぎのスタンプを送り返しておいた。

「明日、本当に大丈夫？」
「うん……。好きな人と夏祭りに行くなんて、最高の思い出になると思うの。最後にするから」

縋るような瞳を向けると、莉音ちゃんは優しく私の頭を撫でる。

「澪音がやりたいことは絶対否定しないよ。それに、望むなら最後にしなくたっていい。旭陽に素直に話したっていいんだよ？」

私は、静かに首を横に振る。

「それはもうしないって決めた。旭陽優しいから、きっと辛くさせるから。
だから、これ以上はもう巻き込まない。旭陽のための最後にする」

本当に旭陽のためなら、夏祭りも行くべきではないかもしれない。
だけど、最後に思い出が欲しかった。これはまた、私の勝手なわがままだ。

莉音ちゃんは、無言のまま私を撫で続けた。
その手の温かさに、私はすぐに眠ってしまった。