7月になり、余命半年と宣言されてからちょうど6ヶ月目となった。

「痛い。莉音ちゃん、莉音ちゃん…」

同じ部屋にベッドを二つ並べて一緒に寝る莉音ちゃん。
深夜なのにも関わらず、か細い声に反応して起き上がった莉音ちゃんは、私の背中を摩りながら薬を手に取った。

痛くなったらすぐ飲めるように、枕元に置かれている薬。
それを取ることさえままならないほど、痛みは鋭く強いものになっていた。

「ありがと……」

薬が効き始めるまで30分程。

「澪音。大丈夫だからね。すぐ効くから」

耐えられない痛みに唸り続ける私に、莉音ちゃんはずっと寄り添ってくれていた。

6月中旬頃から、私の病状は急速に悪化していた。
文化祭までは、あんなにも元気だったのに。

薬さえ飲んでいれば、量を増やすのを怖がりさえしなければ、痛みもなく、最後まで自分らしく生きられるものだと、意外と運命は優しいのだと、そんなふうに思っていた自分を恨みたい。

大輝の大会だって、県大会はきっと見られないけど市大会、地区大会くらいまでは見届けられるだろうと思っていた。

それなのに、市大会すら体調を崩して行けなかったし、
最後になってしまった大輝の地区大会も、敗退の知らせをベッドの上で聞いていた。

泣きながらかけられてきた、朱里からの電話に、私は泣けずにいた。

酷く、他人事だった。
あんなにも、文化祭では、自分の人生に涙が出ていたのに。みんなと一緒に中学最後の1年を楽しめていたのに。