「旭陽、今日どうする?」
「あー…いや、帰る」
「だよな、どっか寄ってく?」

対して俺は、本気じゃない人の集まる名ばかりのバレー部で、時々遊んでいるだけだった。

こんなどうしようもない俺でも、昔は少年倶楽部に入り、野球が大好きだった。
大輝と競い合いながらピッチャーをしていた時代が懐かしい。

3年生になり、後輩にも慕われて楽しそうな大輝を見ると、つまらない揉め事でやめてしまったのがもったいないような気もしていた。

中学に入学し、ほんの少しだけは野球部に入ったけれど、少年倶楽部時代から目を付けられていた先輩に、ここぞとばかりに嫌がらせをされて、正当に評価されない部活に嫌気が差した。

そんなの大輝だって一緒だったのに、理不尽にも耐えて残ると言った大輝を置いて、俺はすぐに退部してしまった。

それも教育なのかもしれない、社会勉強として受け入れるべきだったのかもしれない。
現に、大輝はそれを上手に受け流し今はキャプテンとして後輩にも同期にも慕われて活躍しているのだから。

だけど、俺には不必要なものにしか思えなかった。

結局、逃げた俺には、今更野球をする資格なんてないし、ただ、大輝の後ろ姿を見ることで精一杯だった。