「澪音、どうだった?」
「本っ当に、最高だったよ!色眼鏡なしで!みんな輝いてた!」

やり切った様子の朱里に、ありったけの想いを伝える。

体調が不安だったこともあり、キャストとして登壇しなかった私は、観客席から劇を眺めていた。

みんなで作り上げた劇を、何度も何度も練習をしてこだわったものを、最高の形で魅せてくれたクラスメイトを眺めていたら、自然と涙が零れていた。

裏方の仕事もない数人しか、周りに居なくて良かったと思う。

「澪音がそう言ってくれるのなら、間違いないね」

満足そうに笑う朱里と大輝に私も微笑み返した。

充分というほどの満足感の中、その後の文化祭も楽しんで、夕方には、文化祭の表彰式が行われた。

「それでは3年生、劇部門」

一般投票と、先生が中心となる審査員投票。

「最優秀賞は、3年A組のリアルシンデレラ!」

周りから歓声が溢れる中、私は小さく手を叩いた。

正直、狙えると思っていた。

どのクラスよりも頑張った自信があったし、どのクラスよりも団結していたことも確信していた。