診察を終え、もう一度学校へと戻る。

最近は、学校でも延長申請が認められて、どのクラスでも夜遅くまで作業が行われているから戻っても作業に参加できるのだ。

急いで教室まで行きたいのだけれど、階段を上るだけで息が上がってしまう。

抜けさせてもらった罪悪感を募らせながら、ゆっくりと教室まで向かうと、廊下にまで女の子の不穏な声が漏れていた。

「てゆーか!皆に残れって言って自分だけ抜けるとかどういうこと!?」

近くなりはっきりと聞こえたその内容に思い当たる節があった私は足を止める。

「分かるー、そもそも全員参加で楽しもうって空気だるいよね」

その声が、少し派手めな女の子達のものであることは口調で伝わってきた。

比較的協力的なクラスで、皆で頑張ろう!という空気があって、それが私はとても嬉しかったのだけれど。

そりゃ、全員がそんな気持ちでいてくれるはずなんてない。少しは否定的な人だっている。
当然だ、思われても仕方ない。

心では納得し、理解を示そうとするのだけれど、内心はやっぱりショックだった。

教室のドアの前にはついたものの、入るタイミングを失って何となく廊下にもたれかかる。

「これ終わったら帰ろうよ、文化祭とかどうでもいいし」
「いーね、てかこれも適当でいいっしょ!」

女の子たちは、キャストではなく劇の装飾を作ってくれているはずだった。

人にどうこう言うのは気が引けるけれど、みんなで作り上げる劇の一部を適当に扱われるのは少し違う。

教室に入って止めようか、でも私が抜けてたことは事実だし、またヘイトを溜めてしまうだろうか。