器用さとリーダーシップを発揮する彼の横にいられることが嬉しくて、私もついつい笑顔になる。

「明日にはこれ決めないとまずいと思うんだよね」
「それはそうだな、俺部活ないし時間作るよ」

黒板を見ながら二人で話していると、教卓から生暖かい視線を感じた。

「安心した。なんか昔みたいだね」
「そうだよ、不自然に距離空けやがって」

冷やかすようなふたりに振り返る。

私は、照れくさくて赤くなってしまいそうな頬を必死で抑えて冷静を取り繕った。

「別にいつも通りだよ!」

そう強く言い放った旭陽は、分かりやすくバンっとチョークを置いて、2人を睨みつける。

不機嫌に見えるその行動が、どうしてか今日は怖くなかった。

旭陽の温かい気持ちの裏側が見えるようで、私はまた笑顔を見せていた。

「てめえも笑ってんなよ!なんだよ!!」
「わっ、ちょっとチョーク持った手で触らないで!」

じゃれ合う旭陽の顔は優しくて、懐かしい気持ちでいっぱいだった。

旭陽は、照れ屋で、素直になれなくて、でもとっても優しい人。

知っていたはずのそんな人柄を改めて感じて、やっぱり嬉しくて頬は緩む。

変わってなかったんだ。ずっと。