張り詰めた重く、冷たい空気を感じる。
峰島さんはただただ真っ直ぐに俺を見る。
その表情は悲しみと苦しみに満ちている。
「……何を言っても、
今の君は冬野柚葉を守る事しか頭にないんだね。
君は、
ずっとずっと、彼女のヒーローだったから」
ヒーロー、
その言葉に俺は思わず小さく笑ってしまう。
そう、
俺はずっと柚葉のヒーローだった。
柚葉は俺だけの天使で、
俺は柚葉を守る、
柚葉だけのヒーロー。
柚葉が光の下を歩けるなら、
俺は暗闇を歩いて構わない。
柚葉が光なら、
俺は影だ。
光は眩しく暗闇を照らす。
柚葉はいつも俺を照らしてくれた。
いつも笑ってくれた。
俺の名前を呼んでくれた。
俺の手をとってくれた。
俺を、
ヒーローにしてくれた。
柚葉が、
好きなんだ。
好きで、好きで、
大好きで、
守りたかった。
ただ、
柚葉を守りたかった。
ただ、
柚葉と一緒に、いたかった。
ずっとずっと、
柚葉と一緒にいたかっただけなんだ。
何を聞かされても、
何を知っても、
結局俺は柚葉が好きなんだ。
例え利用されたとしても、
俺は柚葉のヒーローなんだ。
「……私は、諦めないよ。
復讐なんて、終わらせなきゃいけない。
君がこの先の人生を捧げる必要なんてない。
私は、
君を必ず……」
最後の言葉を濁して、
峰島さんは部屋を出た。
あの人は、
自分の正義を貫くのだろう。
俺さえも、助けたいと思っているのだろう。
もしかしたらそれは、
罪悪感からなのかも知れないけど。
峰島さんも、
梓葉さんに関わった人だ。
梓葉さんの誰にも見せた事のない顔を、
唯一見た人だから。
それでも俺はずっと言い続ける。
俺が殺した、と。
柚葉、
君が今、
俺の隣にいないのが、
ただただ、辛い。
柚葉、
今、何を思っている?
復讐を遂行出来たと、
笑っていたらいい。
罪を被り、
こうして警察に捕まり殺人犯になる俺を、
笑って見ていたらいい。
柚葉が笑ってくれたら、
俺はそれだけでいいんだ。
ああ、でも、
柚葉。
今、柚葉に会えない事が
悲しくて悲しくてたまらない。
柚葉の声が聞きたい。
柚葉の暖かい手を握りたい。
柚葉を抱きしめたい。
柚葉の、
少し困ったように眉を下げ笑う、
あの笑顔を見たい。
柚葉、
柚葉、
柚葉、
大好きだよ。
柚葉は俺の事、
大嫌いだっただろうけど、
憎くて憎くてたまらなかっただろうけど、
それでも、
信じたい。
死の直前の言葉も、
少し困ったように眉を下げ笑う君の笑顔も、
本物だった事を。
柚葉、
君に聞きたい事が今更だけど、たくさんあるんだ。
いつか君に聞けたらいいな。
ねえ、柚葉。
俺達、違う出会い方をしていたら、
何か変わっていたのかな?
祖父は君の父親の工場を潰さずに、
父さんと梓葉さんは、
昔つきあっていて、
お互い納得して別の道をいって、
結婚して、俺達が生まれて、
そして、
俺達は何もしがらみ無く、
ただの子どもとして、出会う。
そんな、
出会い方だったら俺達は、
今、ふたりで笑っていたのかな?
それとも、
俺達は、
復讐という鎖に縛られていたからこそ、
こんなにも惹かれ求めたのかも知れない。
……答えなんて、いくら考えても出ない。
たられば話なんてキリがない。
君は、
天国が似合うけれど、
行き先は地獄だろうか。
俺も同じ場所にいくから。
俺は結局、
柚葉を救えなかったから。
きっと同じ場所にいくよ。
だから待っていて。
そして、
聞かせて。
君の口から、
君の言葉で、
全てを。
目を閉じると、
柚葉の笑顔が浮かぶ。
少し困ったように眉を下げて笑う、
俺の1番好きな、
最期に見た、
柚葉の笑顔が。
大好きだよ、柚葉。
君はずっとずっと、
俺の天使で、
俺はずっとずっと、
君のヒーローだ。
これからも、
ずっとずっと。
握りしめた拳に、
不意に暖かさを感じた。
それはまるで、
柚葉に手を握られているようで、
柚葉が俺に笑ってくれたようで、
俺は涙が流れるのを止める事が出来なかった。
ごめん、柚葉。
君を救えなくて。
一緒に生きていきたかった。
たったひとりの、
愛した女の子。
本当に、
本当に
愛していたよ。
峰島さんはただただ真っ直ぐに俺を見る。
その表情は悲しみと苦しみに満ちている。
「……何を言っても、
今の君は冬野柚葉を守る事しか頭にないんだね。
君は、
ずっとずっと、彼女のヒーローだったから」
ヒーロー、
その言葉に俺は思わず小さく笑ってしまう。
そう、
俺はずっと柚葉のヒーローだった。
柚葉は俺だけの天使で、
俺は柚葉を守る、
柚葉だけのヒーロー。
柚葉が光の下を歩けるなら、
俺は暗闇を歩いて構わない。
柚葉が光なら、
俺は影だ。
光は眩しく暗闇を照らす。
柚葉はいつも俺を照らしてくれた。
いつも笑ってくれた。
俺の名前を呼んでくれた。
俺の手をとってくれた。
俺を、
ヒーローにしてくれた。
柚葉が、
好きなんだ。
好きで、好きで、
大好きで、
守りたかった。
ただ、
柚葉を守りたかった。
ただ、
柚葉と一緒に、いたかった。
ずっとずっと、
柚葉と一緒にいたかっただけなんだ。
何を聞かされても、
何を知っても、
結局俺は柚葉が好きなんだ。
例え利用されたとしても、
俺は柚葉のヒーローなんだ。
「……私は、諦めないよ。
復讐なんて、終わらせなきゃいけない。
君がこの先の人生を捧げる必要なんてない。
私は、
君を必ず……」
最後の言葉を濁して、
峰島さんは部屋を出た。
あの人は、
自分の正義を貫くのだろう。
俺さえも、助けたいと思っているのだろう。
もしかしたらそれは、
罪悪感からなのかも知れないけど。
峰島さんも、
梓葉さんに関わった人だ。
梓葉さんの誰にも見せた事のない顔を、
唯一見た人だから。
それでも俺はずっと言い続ける。
俺が殺した、と。
柚葉、
君が今、
俺の隣にいないのが、
ただただ、辛い。
柚葉、
今、何を思っている?
復讐を遂行出来たと、
笑っていたらいい。
罪を被り、
こうして警察に捕まり殺人犯になる俺を、
笑って見ていたらいい。
柚葉が笑ってくれたら、
俺はそれだけでいいんだ。
ああ、でも、
柚葉。
今、柚葉に会えない事が
悲しくて悲しくてたまらない。
柚葉の声が聞きたい。
柚葉の暖かい手を握りたい。
柚葉を抱きしめたい。
柚葉の、
少し困ったように眉を下げ笑う、
あの笑顔を見たい。
柚葉、
柚葉、
柚葉、
大好きだよ。
柚葉は俺の事、
大嫌いだっただろうけど、
憎くて憎くてたまらなかっただろうけど、
それでも、
信じたい。
死の直前の言葉も、
少し困ったように眉を下げ笑う君の笑顔も、
本物だった事を。
柚葉、
君に聞きたい事が今更だけど、たくさんあるんだ。
いつか君に聞けたらいいな。
ねえ、柚葉。
俺達、違う出会い方をしていたら、
何か変わっていたのかな?
祖父は君の父親の工場を潰さずに、
父さんと梓葉さんは、
昔つきあっていて、
お互い納得して別の道をいって、
結婚して、俺達が生まれて、
そして、
俺達は何もしがらみ無く、
ただの子どもとして、出会う。
そんな、
出会い方だったら俺達は、
今、ふたりで笑っていたのかな?
それとも、
俺達は、
復讐という鎖に縛られていたからこそ、
こんなにも惹かれ求めたのかも知れない。
……答えなんて、いくら考えても出ない。
たられば話なんてキリがない。
君は、
天国が似合うけれど、
行き先は地獄だろうか。
俺も同じ場所にいくから。
俺は結局、
柚葉を救えなかったから。
きっと同じ場所にいくよ。
だから待っていて。
そして、
聞かせて。
君の口から、
君の言葉で、
全てを。
目を閉じると、
柚葉の笑顔が浮かぶ。
少し困ったように眉を下げて笑う、
俺の1番好きな、
最期に見た、
柚葉の笑顔が。
大好きだよ、柚葉。
君はずっとずっと、
俺の天使で、
俺はずっとずっと、
君のヒーローだ。
これからも、
ずっとずっと。
握りしめた拳に、
不意に暖かさを感じた。
それはまるで、
柚葉に手を握られているようで、
柚葉が俺に笑ってくれたようで、
俺は涙が流れるのを止める事が出来なかった。
ごめん、柚葉。
君を救えなくて。
一緒に生きていきたかった。
たったひとりの、
愛した女の子。
本当に、
本当に
愛していたよ。