「私を好きって……じょ、冗談?」
「Je ne dirais pas cela en plaisantant. Je m'intéresse à vous depuis que ma mère m'a parlé de vous et que j'ai eu le coup de foudre. Et le fait que tu n'aies pas eu peur de moi, chaque mot que tu as prononcé m'a donné du courage. Je t'aime bien, Iroha, je t'aime bien. Je ne peux pas m'en empêcher, je t'aime!」
「え、ちょ」
早く過ぎて何を言っているのか、全く分からない。聞き取れてもニュアンスで告白めいたことを言われている気がしなくもない。
「彩葉、貴女に恋をしている。愛している……。元恋人のことで傷ついた君の気持ちが落ち着くまで、いくらでも待つ。でも、君を好きだという気持ちを伝えることを許して欲しい」
「……大雅と告白されたのは、両親を亡くしてすぐでした。だから今回も同じように、寂しさとか悲しみを埋めるために、誰かと付き合うのはしたくないんです」
「うん」
「だから……リュカさんの気持ちに……今は応えられません」
「今は?」
「……もう少し、時間をくれませんか?」
私は卑怯だと思う。
リュカさんに惹かれながらも、決断できない私の我が儘だ。
「Bien sûr! 彩葉が私だけを見てくれるように今まで我慢していたけれど、たくさん愛を囁いて、君を愛そう。だから覚悟してくれ」
そう言って私の額、瞼、頬、鼻にキスをする。そのどれもが擽ったくて、心地よい。そう思う段階で答えは出ているようなものだけれど、もう少しだけ言葉にする時間がほしい。
唇のキスを拒むため、彼の胸元に顔を埋めたのだけれどバレバレだったと思う。
***
リュカの念願デートは季節が移り変わり、銀杏や紅葉がちらほら見える頃に叶った。
もっともリュカと頻繁に会って──というか、隣の家に引っ越してきたので、ほぼ毎日会っている。ここですでに彼の本気を感じたが、それでも恋愛に臆病になった私は、今まで以上に仕事に精を出していた。
その甲斐あって、今年に売り上げはかなり期待できることとなった。
そんな折、念願のデートをするのはリュカの「浅草の抹茶クレープが食べたい」という発言だった。
今までもスーパーの買い出しや、雑貨展などのチケットをもらって半日だけ会うことがあったが、彼の中で丸一日デートこそが正式な? いや彼が憧れていたデートだとか。
昔読んだ少女漫画の影響だとか。ちなみにその影響で、日本語を勉強したとか。もっともメイさんが日本人だったというのが、大前提だったけれど。
神堂先生とは、歳が十歳も離れた姉だったとか。先生にメイさんがリュカのお母さんだったのをどうして教えてくれなかったのか、と聞いたことがあったが真顔で「は? アイツ説明してなかったのかよ?」と、ドン引きしていた。
「まあ、アイツならお嬢を大切にするからいいんじゃないかな? 趣味じゃないなら、私が立候補してもいいけどな」と茶化されてしまった。
タラシなのは家系なのかしら?
そんなこんなでデート当日。
リュカは私服姿で落ち合った。パリッとしたスーツを着こなす姿もかっこいいが、私服の長めのカーディガンにシャツにズボン、ブーツの格好もかっこいい前髪は分けているので、モデル並みのイケメンさんにしか見えない。
「リュカが日に日にカッコいい……つらい」
「それは私にセリフでは? どこかの天使が落ちてきたのかと思ったよ」
歯の浮くようなセリフに、違和感ないのってすごいわ……。
リュカの満面の笑みに早くもノックダウンしそうだったけれど、耐えた。リュカとしては浅草の人力車にも乗ってみたいのだとか。
微笑ましく思っていたのはそこまでで、思っていた以上に人力車の中が狭い……というかリュカの体格のせいでもあるのか密着が半端ない!
ひゃわわわっ!
何もかもが近いし、いい匂いがするし、密着して……ドキドキが半端ないのだけれど!
「Je ne dirais pas cela en plaisantant. Je m'intéresse à vous depuis que ma mère m'a parlé de vous et que j'ai eu le coup de foudre. Et le fait que tu n'aies pas eu peur de moi, chaque mot que tu as prononcé m'a donné du courage. Je t'aime bien, Iroha, je t'aime bien. Je ne peux pas m'en empêcher, je t'aime!」
「え、ちょ」
早く過ぎて何を言っているのか、全く分からない。聞き取れてもニュアンスで告白めいたことを言われている気がしなくもない。
「彩葉、貴女に恋をしている。愛している……。元恋人のことで傷ついた君の気持ちが落ち着くまで、いくらでも待つ。でも、君を好きだという気持ちを伝えることを許して欲しい」
「……大雅と告白されたのは、両親を亡くしてすぐでした。だから今回も同じように、寂しさとか悲しみを埋めるために、誰かと付き合うのはしたくないんです」
「うん」
「だから……リュカさんの気持ちに……今は応えられません」
「今は?」
「……もう少し、時間をくれませんか?」
私は卑怯だと思う。
リュカさんに惹かれながらも、決断できない私の我が儘だ。
「Bien sûr! 彩葉が私だけを見てくれるように今まで我慢していたけれど、たくさん愛を囁いて、君を愛そう。だから覚悟してくれ」
そう言って私の額、瞼、頬、鼻にキスをする。そのどれもが擽ったくて、心地よい。そう思う段階で答えは出ているようなものだけれど、もう少しだけ言葉にする時間がほしい。
唇のキスを拒むため、彼の胸元に顔を埋めたのだけれどバレバレだったと思う。
***
リュカの念願デートは季節が移り変わり、銀杏や紅葉がちらほら見える頃に叶った。
もっともリュカと頻繁に会って──というか、隣の家に引っ越してきたので、ほぼ毎日会っている。ここですでに彼の本気を感じたが、それでも恋愛に臆病になった私は、今まで以上に仕事に精を出していた。
その甲斐あって、今年に売り上げはかなり期待できることとなった。
そんな折、念願のデートをするのはリュカの「浅草の抹茶クレープが食べたい」という発言だった。
今までもスーパーの買い出しや、雑貨展などのチケットをもらって半日だけ会うことがあったが、彼の中で丸一日デートこそが正式な? いや彼が憧れていたデートだとか。
昔読んだ少女漫画の影響だとか。ちなみにその影響で、日本語を勉強したとか。もっともメイさんが日本人だったというのが、大前提だったけれど。
神堂先生とは、歳が十歳も離れた姉だったとか。先生にメイさんがリュカのお母さんだったのをどうして教えてくれなかったのか、と聞いたことがあったが真顔で「は? アイツ説明してなかったのかよ?」と、ドン引きしていた。
「まあ、アイツならお嬢を大切にするからいいんじゃないかな? 趣味じゃないなら、私が立候補してもいいけどな」と茶化されてしまった。
タラシなのは家系なのかしら?
そんなこんなでデート当日。
リュカは私服姿で落ち合った。パリッとしたスーツを着こなす姿もかっこいいが、私服の長めのカーディガンにシャツにズボン、ブーツの格好もかっこいい前髪は分けているので、モデル並みのイケメンさんにしか見えない。
「リュカが日に日にカッコいい……つらい」
「それは私にセリフでは? どこかの天使が落ちてきたのかと思ったよ」
歯の浮くようなセリフに、違和感ないのってすごいわ……。
リュカの満面の笑みに早くもノックダウンしそうだったけれど、耐えた。リュカとしては浅草の人力車にも乗ってみたいのだとか。
微笑ましく思っていたのはそこまでで、思っていた以上に人力車の中が狭い……というかリュカの体格のせいでもあるのか密着が半端ない!
ひゃわわわっ!
何もかもが近いし、いい匂いがするし、密着して……ドキドキが半端ないのだけれど!