「博樹? どしたの?」

「あ……今日は恋に大事な話があるんだ」

私は戸惑いながらも今日の為に着てきたシックな紺色のワンピースの裾をそっと握りしめた。

「……うん。なに?」

どうしたら良いのか、何を言ったらいいのか分からない私は博樹の言葉に疑問形で返した。

「あのさ。有川恋さん……」

(すっごいドキドキする……どうしよう……っ)

博樹は形の良い唇をきゅっと結んだ。私はあまりの緊張から酸素が薄く感じて何度も浅い呼吸を繰り返す。

「俺と……」

博樹の私の名前を呼ぶ声に私は無意識に呼吸を止めた。

「──別れて欲しい」