私と恋人である博樹との交際は丸二年になる。博樹は得意先との飲み会で知り合い、博樹は出版会社勤務でインテリア雑誌やグルメ雑誌の編集者をしている。

博樹は私より二つ年上で、互いの趣味である映画鑑賞とマンガから意気投合し交際が始まった。少々優柔不断なところがある博樹だが一緒に居て楽しく、気を遣わない関係が居心地よく今までにケンカらしいケンカはしたことがない。

「もう二年か……いつか博樹と家族になる日が来るのかなぁ……なんてね」

私がそう言いながら空になったコンビニ弁当をビニールの袋に入れたとき、再びスマホが震える。

──『あと明日、恋に大事な話があるんだ』

「えっ!!」

私は博樹からのそのメッセージを二度見する。私は、ちょうど先日、テレビで見たばかりの一般男性が恋人へのプロポーズするというドキュメント番組が脳裏に浮かぶ。

「……誕生日に今まで行ったことないお洒落なレストラン……大事な話って……嘘でしょ……?!」

そう言いながらも、私の胸は淡い期待でとくとく鼓動が加速していく。

「えっと……ミシュラン一つ星レストランに着て行けるようなワンピースってあったかな……!?」

私は慌てて立ち上がる、すぐにクローゼットを開け洋服たちとにらめっこを始めた。