「……っ、私……」

胸がいっぱいで嬉しくて私の両目からは勝手に涙が流れていく。勿論悲しくてではなく嬉しくて。

「困ったな。おまじないしようか?」

「……え? ぐすっ……お、まじない? 悲しいの悲しいの、飛んでいけ……?」

修哉からのおまじないと言えば浮かんでくるのは『悲しいの悲しいの飛んでいけ』だ。

「違うよ。恋を笑顔にする魔法のおまじない」

そう言うと、修哉が私の気持ちを確かめるようにゆっくりと私を抱き寄せる。

私は修哉からの想いに応えるように、修哉の背中を両手でぎゅっと抱きしめた。

「して、修哉のおまじない」

「いいよ。これから飽きるほどするから」

私たちは顔を見合わせると、少しの間気恥ずかしさをごまかすように笑い合う。

「修哉、大好き」

「俺もだよ」

もう二度と恋なんてしないなんて思ってた自分はもうどこにもいない。

甘い恋の味ををもっともっと貴方と一緒に知りたい。

もっともっと貴方と恋したい。
心と心で触れ合いたい。分かち合いたい。

私がそっと目を閉じれば修哉から甘いキスが落とされる。

私は重ねられた唇の心地よさに身を委ねながら、これから始まる幸せいっぱいのクローバーのような恋物語にそっと想いを馳せた。


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