「そうだよ。あの夜、偶然、酔った恋の声を聞いて俺も驚いた。恋なんていう名前なんて珍しいし、見れば思いっきり面影あるし、咄嗟に名前確認したら名字まで同じだったから確信した」

「全然……知らなかった」

あの夜、修哉がすぐに私だと気づいてくれていただなんて。

「俺の初恋、恋だったんだ。ずっともう一度会いたいって思ってた。まさかもう一度会えるなんてな」

「あの……私の初恋も修ちゃんだったの」

「ああ。あの夜それを聞いて俺は酔ってる恋に悪いと思いつつ契約書にサインしてもらったから」

「えっ! そうだったの?」

「あの時もう絶対に離さないって思ったね」

「〜〜〜〜っ」

そう言って子供みたいに白い歯を見せる修哉に私も顔が熱くなったまま笑顔を返せば、今まで修哉と出会ってから感じていた違和感も疑問も雪がとけるようにあっという間に消えていく。

「恋……」

修哉が私の頬にそっと手のひらで触れると、私の目を真っすぐに見つめた。


「──恋が好きだ」