「これなんだけど」

「え……っ、これ」

修哉が私に手渡したのはA4サイズで淡い緑色をしており『ツナグ学園幼稚園 第50回卒園アルバム』と記載されている。

「ツナグ学園幼稚園って……」

「ああ。俺はここの幼稚園の卒業生なんだ」

「嘘……っ、修哉も?!」

私は思わず口元を覆っていた。私は両親が亡くなったことをきっかけに祖母の街に引っ越したため卒園アルバムは持っていないが、ツナグ学園幼稚園はまぎれもなく私が通っていた幼稚園だ。

「もしかして恋も?」

「え? あの……私……」

修哉の全てを見透かすような余裕たっぷりの笑顔に、私の心臓はとくとくと淡い期待と一緒に音を奏で始める。

「恋に見て欲しいのはこのページ」

修哉が長い指がアルバムの後方の集合写真のページを開けば、そこには懐かしい校庭の風景と一緒に幼い私が男の子と一緒に映っているのが見えた。

「あ……っ!」

「うん。これが恋だよね? そして……」

驚きすぎて声が出ない私を見ながら修哉が写真の中の私の隣を人差し指で指さした。

「こんなこと……」

「俺が誰だかわかった?」

修哉がいたずらっ子のような顔をすると涙が滲んだ私の目じりをそっと拭った。

「しゅう、ちゃん……だったんだね」