修哉が私を連れてきたのはタワマンの最上階である修哉の自宅だった。

「どうぞ」

「あ、お邪魔します」

私はパンプスを脱いで玄関先にそろえると、修哉についてリビングに向かう。修哉の自宅に来るのは泥酔したあの日以来だ。部屋は修哉の匂いがしてドキドキしてくる。

「恋、紅茶とココアがあるがどっちがいい?」

「あ……ココア」

「了解。ソファー座ってて」

修哉は手際よくマグカップにココアの粉末を入れるとお湯を注ぐ。すぐに甘い香りが鼻を掠めた。

「はい、どうぞ」

「ありがとう」

修哉はソファー前の木製のテーブルにココアをふたつ置きながら私の方を見てふっと笑った。


「緊張してる?」

「それは……うん」

私はここに来るまでに修哉ついてどんなの話を教えてくれるのか尋ねたが、修哉は家についてから話すと言って答えてはくれなかった。

「恋に俺のこと話すって言ったよね?」

「うん」

「見せたいものがあるんだ」

「え? 私に?」

「ああ。なぜ俺が恋じゃなきゃダメなのか全部わかるよ」

「……?」

修哉はそう言って立ち上がると、目の前のガラス戸がついてチェストから一冊の分厚い本を取りだした。