「……話って何? 私、仕事中だから手短に話して」

博樹はスーツのズボンのポケットに両手を突っ込こんだまま、少し黙ってから唇を湿らせた。

「あのさ、未希ちゃんから聞いたんだけど四葉って奴の秘書してるってほんと?」

「それがどうかした?」

「あと、婚約者っていうのもほんと?」

「…………」

「やっぱそうなんだ」

博樹はそう言うと私へと一歩距離を詰める。

「その四葉と恋ってどういう関係なの? 未希ちゃんがいきなり恋を秘書に抜擢して婚約者だなんておかしいって。何か理由があるはずだって聞いて俺……」

「博樹に関係ないじゃないっ! そんな話なら私もう行くからっ」

そう言って私が博樹の脇をする抜けようとすれば、直ぐに博樹が私の手首を掴んだ。

「ちょっと、離してっ」

「嫌だ、離さない」

「何なのっ!?」

「──俺とやり直そう?」

私はすぐには博樹の言葉が理解できない。

「何……言って……」