「──お久しぶりです、山田(やまだ)支配人」

修哉が真っ先に声をかけたのは高級なスーツを身に纏った四十代くらいの男性だ。

「おぉ、これは四葉副社長お久しぶりですな。いつロスからご帰国を?」

「数週間前です。無事にこうしてお祝いの場に駆けつけることができて嬉しい限りです」

「ははは、こちらこそお忙しい中パーティーに参加して頂き有難う御座います。楽しんでいってくださいね。副社長、そちらの方は?」

(きた──)

「こちらは僕の秘書なんです」

私は背筋をピンと伸ばしたまま笑顔で挨拶をする。

「四葉副社長の秘書を務めております、有川恋と申します。どうぞ宜しくお願い申し上げます」

「こちらこそ。また四葉副社長とは一杯やりたいと思ってるので今後とも宜しくお願いしますね」

「はい、こちらこそ宜しくお願い申し上げます」

私がお辞儀を終えると、修哉もにこやかな笑顔を支配人に向けながら軽く会釈をして、私たちはその場を離れる。そしてそのあともクローバーデザインと取引のある大手建設会社や不動産会社、銀行関係者など次々と挨拶を交わしていく。