今日は修哉から言われていたホテルのオープニングパーティーの日だ。開始まであと一時間。

私は手元に時計を確認するとふうっ息を吐いた。

「緊張してるのか?」

「うん、そんな華やかなこと……秘書としてもまだ全然慣れてないのにうまくやれるかなって……」

「俺に任せてくれればいい」

そう言うと修哉の視線が私の着ているワンピースに向けられる。

「良く似合ってる」

「あの……えっと。こんな高価なの……ありがとう……この間もゴディパのチョコもたくさん貰ったばっかりなのに」

私がそう言えばすぐに修哉が不服そうに唇をすこし尖らせてから私の頬にそっと触れる。

「恋のためなら何だってしてやりたい。恋は俺にとって何よりも誰よりも大切な存在だから」

「修哉……」

「じゃあ、行こう──エスコートするよ」

私は『四つ葉の王子様』から差し出された大きな手のひらをきゅっと握った。