「それで続きは?」

「……うん。中学、高校は美術部だったの……絵を描くのが好きで、インテリアも本当はデザインの方に進みたかったんだけど留学費用が難しくて……趣味は映画鑑賞と……漫画かな」

「なるほど……恋の好きな映画と漫画のジャンルは?」

「えぇっと……映画はミステリーで、漫画は少年漫画と少女漫画両方……最近は少女漫画多めで……王子様みたいな人といきなり結婚前提に交際始まるのとか読んでて……えっと」

気恥ずかしくて口ごもった私を見ながら修哉がすぐにククっと笑った。

「修哉?」

「まるで俺たちみたいだなと思ってさ。いきなり結婚前提の婚約者だなんて」

「そ……そう言われてみれば確かに」

私も修哉につられて思わずクスっと笑う。

「恋は笑ってるのがやっぱり可愛いな」

「っ……!!」

涼しい顔を平然とそんな甘いセリフを言ってのけてしまう修哉は、本当に漫画から出てきた王子様そのものだ。

「どうした?」

「修哉って……その誰にでもそのそうなのかなって……」

「そんな風に見えたなら心外だな」

修哉の大きな手のひらが伸びてくると私のグラスを握る手のひらに重ねられる。

「何度でも言うよ。俺は恋に一目ぼれした。それも生まれて初めて。俺は恋の生涯のパートナーになりたいと思ってるし恋を生涯支えたいと思ってる。この気持ちに嘘偽りはないよ」

修哉の真剣な瞳をみていれば修哉の用意した恋の沼にあっという間にはまって抜け出せなくなりそうだ。いや、すでにもう私はその沼に踝くらいまでは嵌まってしまっているのかもしれない。