「きゃ……っ、副社長?!」

修哉は掴んでいた未希の手首を雑に話すと温度のない目で睨みつけた。

「で? 俺の質問に答えてもらおうか?」

「あの、そうです……えっと近藤未希と申します」

「近藤さん、確認だが、今君は有川さんに暴力を振るおうとしたよな?」

「い、いえ、違います! とんでもないですよ〜! 恋先輩の髪に、その埃がついてたので取ってあげようとしただけです」

「……なるほど。じゃあ二人で何を話してた?」

「あ、私ずっと四葉副社長に憧れてて~その秘書としてお力に慣れること沢山あるんじゃないかなっと思って~有川先輩に相談してたんですけど~」

「その必要はない。俺の秘書は有川さんしかいないと思っている」

修哉のその言葉に未希の顔がすぐに歪む。

「副社長! なんで有川先輩なんですか!! みんな言ってますよ、こんな人事おかしいって」

「有川さんについては部長から詳しくその有能ぶりを聞いている。顧客目線に立った誠実で的確な提案力や正確で真摯に仕事に取り組む姿勢は大いに評価されてしかるべきだ」

「でも……私の方が教養も……っ」

「しつこいな。そもそも君は入社二年目にもなってもFAXひとつ、まともに送れないこともあるとか? ケアレスミスも多いと部長も嘆いていた。有川さんが粘り強く君に仕事を教えていたようだが、有川さんじゃなかったらとうに見放されててもおかしくないと思っているが君はどう思ってるんだ?」

「っ……」

(修哉……)