「何度も言ってるけど、インテリアってただ目で見て楽しむだけのものじゃなくて暮らしや心も豊かにするものだと思ってるの。自分の手間を惜しまずにお客様の立場にたって、お客様が心から納得して気に入って使って頂けるように誠実なご提案することが私たちの仕事でしょ?」

「あー……そのいい人ぶった、カッコつけたお説教大っ嫌いです~。そんなんだから博樹にも愛想尽かされちゃうんですよ。息詰まっちゃう」

未希は長いブラウンベージュの髪をかき上げるとデスクの上に手を突いた。

「ねぇ。そんなに営業事務の仕事好きなら代わってくださいよ、その席」

「何言ってるの?」

「私こう見えて社長令嬢だし~それなりの教養身についてるしパパの接待とかにもついてったりするんで〜恋先輩なんかより秘書業務向いてると思うんです」

「なにそれ……私に言うなら副社長に直訴すればいいじゃない」

「こういうのって誰かに推薦してもらう方がなんかよくないですか~? 恋先輩から自分よりもっと秘書に適任な人材がいるからって秘書降りて欲しいんですけど」

「なんで私が未希ちゃんの言うこと聞かなきゃ聞けないわけ」

「はぁあ、ほんと融通きかないですよね。てゆうか、恋先輩って副社長と知り合いですか?」

「え……なんで?」

「じゃないとおかしいでしょ、恋先輩レベルなら他に適任いっぱいいるのに」

(どうしよう……修哉との契約のこと未希ちゃんには言えないし……)